カッコいい

これは、私がまだ日本に居たときの話ですが、電車の中で洋書を耽読している女性(おそらくビジネスウーマン)を見かけて、「凄いなぁ、カッコいいなぁ」と思ったことがあります。私は、自分の持っていない能力を持っている人を見ると素直に憧れる性質で、当時の私は洋書を「読み耽れる」ほどの語学力を備えておりませんでしたので、とってもカッコよく感じたものです。

ちなみに、自分の持っていない能力であれば別に洋書でなくてもよくて、楽譜を読んで音取りしている音楽家の方なんかも、凄いなぁと感嘆の眼差しで見ています(私は今のところ楽譜がまともに読めません。読み方は知っているのですが・・・)。

世の中にはいろいろな方がいらっしゃいますので、一概には言えませんが、多分、私と同じように感じる人も少なくないのではないかと思います。つまり、洋書を読めるということを、とてもカッコいいことだと感じる人もいらっしゃるだろうということです。

自分自身、今では、洋書を読むことは日常生活の一部になってしまっていて、別に特別なことでも何でもないのですが、改めて考えてみると、当時の私が現在の私を見たら、「カッコいい」と思ってくれるのではないかと思います。

人間、やはり、自分が「カッコいい」と思える道を歩みたいものです。そして、自分がそうできていることをとても幸せに感じます。

もう一つ、そう思えることがあります。

かつて私の指導教官を引き受けてくださった先生の研究室に初めて入ったときのことです。壁の書棚の一面にズラーっと並ぶ洋書を見て、「凄いなぁ、カッコいいなぁ、いつか自分もこうなりたいなぁ」と思ったことを昨日のように覚えています。

そして、現在の私も、その先生の研究室のように「カッコいい」書斎を持てるようになりました。

人間の夢って、叶うもんだなぁと思います。別に、カッコつける目的でそうした訳ではなく、必要に応じてそうなっているわけですが、そうなるまでに「なりたい自分」に向けていろいろな努力を積み重ねてきた自分を褒めてあげたいと思います。

何だか個人的な思い入れが強すぎて話の筋が分かりにくくなってしまいましたが、要するに、「洋書を読みこなしたり、洋書の並んだ書斎を持つことを「カッコいい」と思う方は、ぜひその感性を大切にして自分の美学を追い求めてくださいね!」というのが、私の申し上げたかったことです。

Vouloir, c'est pouvoir!
(やりたいこと、それはできること!)

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